愛されプリンス½
「な、にそれ。どう意…味…」
もうただ話をするには十分すぎる距離にいるというのに、また一歩距離を詰めてきたプリンスに圧されるように、私も一歩後退する。
「言葉通りの意味だけど?」
また一歩、近づいてくる。
トン、と背中が突き当りの部屋のドアに触れた。
気付いたら物凄い至近距離から、プリンスが私を不敵な笑みで見下ろしている。
「…意味わかんないんだけど」
「バカだなお前」
グイッと腕をひかれて。
フワッと甘い香りに包まれる。
あまくて、あたたかい。
それがプリンスの腕の中だということに気付いたのは、悠に十数秒が経過した後だった。
……これは…一体…何事!?
「ちっ、ちょっとぉぉぉぉ!!!」
ドンッ!と渾身の力で奴の胸を押し、どうにかその危険な場所から逃れる。
「急に何すんのっ!?この痴漢野郎…!!」
だけど怒り狂う私には全く目もくれず、なぜか自分の体をペタペタ触り何かを確認している風のプリンス。
「……やっぱりだ」
そしてボソッとそう呟いた。