愛されプリンス½
“アイツには傷がある”
“めちゃくちゃに…傷つけたから”
みんながみんな、あいつを傷だらけみたいに言うけれど。
「プリンスッ、今日…もしよければこの後お茶しませんか?」
「ごめんね。今日はこの後撮影なんだ」
「きゃぁ~♡雑誌のですか?もしよければ見学させて頂いても…」
「あはは、発売を楽しみにしててね」
「はいっ!楽しみに全力で待機してます!!」
「あはは、可愛いなぁ、みんな」
「きゃぁ~~~~~っ!!!!」
「………アホらし」
放課後、昇降口を出た所で女子達とそんな雑談を繰り広げている天王子は、とてもそんな風には見えない。
傷だらけどころか、傷ひとつ、悩みひとつなさそうなアホっぽい猫かぶり笑顔を浮かべている。
「…一体あいつに昔何があったわけ?」
ボソッと無意識に呟いて、ハッとする。
最近気付けばそんなことばかり考えている気がする。
いけないいけない、無意識にあいつのことを考えるなんて時間の無駄、今すぐやめよう。うん。タイムイズマネーっていうし。