愛されプリンス½
「…天王子?」
なんで突然ここで、天王子の名前が?…もしかして妃芽ちゃん、樹くんの発言で何か誤解してるんじゃ。
「…念のため言っておくけど、私と天王子は何もないよ?」
「…うん。昨日、玲は一花ちゃんのこと好きじゃないって、はっきり否定してたもんね」
「そうだよ」
うんうんと頷く。
天王子が私に恋なんてありえない。
あいつは仮にも学園のプリンスで、私はその辺の村人E。
「あいつが私なんかのこと好きになるはずない」
「じゃぁ一花ちゃんは?」
「え?」
妃芽ちゃんの真剣な眼差しが、10センチ下から私に注がれている。
「玲のこと、好きじゃないの?」
「……はい?」
私が天王子のことを好き、って。
「ないよー!ありえないって!!」
私は笑い飛ばした。
「…本当に?」
妃芽ちゃんはらどうやら疑っているらしい。
「なんだかんだ、玲と仲良しじゃん…」
「えっと…どこをどう見たらそう見えるの?」
顔を合わせればいがみ合ってしかいないと思うんだけど。
だけど妃芽ちゃんは私の質問には答えないまま続ける。
「それに。私に玲に近づかない方がいいって言ったのも、一花ちゃんが玲のこと、好きだからじゃないの?」