愛されプリンス½
「うるさいなぁ…」
「俺が教えてやろっか?」
天王子がニヤリと私を見る。
…天王子は仮にも学年一位の秀才だ。
だけど。
「…何が目的?」
こいつがタダで私に勉強を教えるなんて、そんな慈善事業絶対にするわけない!
どうやらその読みは当たったらしい。
「キスでいいけど?」
試すような笑みでそんなことを言ってきた。
「絶対に嫌」
「ほんとバカかよ。俺とキスできるなら百万くらい出す女ザラにいると思うんだけど」
「…ほんとおめでたい奴。前から言ってるけど、私は好きな人としか絶対に」
「じゃぁアイツとはキスできるんだ?」
天王子の雰囲気が変わった。
顔から笑みは消えて、感情の読み取れない、無表情な瞳で私に問う。
「アイツ…?」
「あのムカつくインテリメガネだよ」
…樹くんのことか。
「何言ってんの?急に」
「答えろって」
天王子の長い指が私の髪の毛を一束、すくう。
思ったよりも距離が近づいていることに気付いた。
「お前、あいつのことが好き?」