愛されプリンス½
…天王子の感情は読みとれない。
サラサラと天王子の手から零れ落ちる自分の髪を視界の端に見ながら、長い睫毛してるなぁ、なんて関係ないことを考えた。
天王子はそんな私にイラついてきたらしい。
「早くしろ」
ぎゅっと形の良い眉をひそめる。
…樹くんのこと好きか、って…
はっきり言って分からない。
告白されて嬉しかったけど、じゃぁ自分も好きなのか?と聞かれたら違う気もする。
でも一緒にいると落ち着くし純粋に楽しい。
それは好きってことなのか…
でもそれ以上に私が今気になってるのは。
何でそんなに真剣な顔で。
天王子がそんなこと、私に聞くの?
「………私は」
「やっぱいい」
“まだわかんない”
正直にそう言おうとしたのに、天王子が私を遮って、フッと体をはなした。
何て自分勝手な…!
「あのね、」
文句を言おうとしたけど、腕を取られ、無理やり椅子から立たされた。
「ちょっと、何…」
「いつものやつ」
天王子が私を抱きしめようと引き寄せる。
その瞬間、
“応援してくれる?”
昼間の妃芽ちゃんの顔が、ふっと頭をよぎった。