愛されプリンス½
「何でここで妃芽が出てくんの?」
天王子が冷たく私を睨みつけたまま聞いてくる。
…なんか…めちゃくちゃ怒ってる!?
かつてないほどの冷たい瞳にビビりつつ、私は何とか言い返した。
「だって、妃芽ちゃんには女アレルギー発動しないんでしょ?」
付き合ってたんだし!
「…お前何言ってんの?」
天王子の声は冷ややかで、少し呆れているようにも聞こえた。
「いつまでもわけわかんねーこと言ってるとぶっ飛ばすぞ」
暴力宣言!!
私はさりげなくジリジリ後退して安全を確保する。
「とにかく、私じゃなくて妃芽ちゃんに頼めば?…妃芽ちゃんの気持ちだって、分かってるんじゃないの…?」
天王子のために転校までしてきたという妃芽ちゃん。
天王子と話すときの妃芽ちゃんからは、全身全霊で“好き”だっていうオーラが溢れ出ている。
…あれで気付いてないわけ、ないと思う。
「………気持ちわる…」
天王子がボソッと呟くようにそう言った。