愛されプリンス½




「何でここで妃芽が出てくんの?」



天王子が冷たく私を睨みつけたまま聞いてくる。



…なんか…めちゃくちゃ怒ってる!?



かつてないほどの冷たい瞳にビビりつつ、私は何とか言い返した。



「だって、妃芽ちゃんには女アレルギー発動しないんでしょ?」



付き合ってたんだし!




「…お前何言ってんの?」



天王子の声は冷ややかで、少し呆れているようにも聞こえた。



「いつまでもわけわかんねーこと言ってるとぶっ飛ばすぞ」



暴力宣言!!



私はさりげなくジリジリ後退して安全を確保する。




「とにかく、私じゃなくて妃芽ちゃんに頼めば?…妃芽ちゃんの気持ちだって、分かってるんじゃないの…?」



天王子のために転校までしてきたという妃芽ちゃん。


天王子と話すときの妃芽ちゃんからは、全身全霊で“好き”だっていうオーラが溢れ出ている。



…あれで気付いてないわけ、ないと思う。





「………気持ちわる…」




天王子がボソッと呟くようにそう言った。




< 265 / 420 >

この作品をシェア

pagetop