愛されプリンス½
じっと感情の読み取れない瞳で私を見下ろす天王子。
張り詰めた緊張感でそれを見つめ返していると、
「……はぁぁぁ~……」
天王子が、脱力したように深いため息をついた。
「もういいわ。やる気失せた」
そしてあっさり私の上から退いて、ベッドから立ち上がる。
「やる気って何する気だったわけ!?」
ベッドから身を起こして聞くと、天王子が「知らねーよドアホ」と偉そうに言い放った。
「知らねーって…!」
「俺だってわかんねーよ」
ガシガシ、イラついたように頭を掻く天王子。
「ただ一つ言えるのは…俺はお前が嫌いだ」
「…改めて言ってもらわなくても知ってるよ」
「お前といると調子狂うし、自分が自分じゃなくなる。俺はほんとは…完璧なはずなのに。そうじゃなくなる。お前のせいで」
よく分からないが全責任を私になすりつけたらしい天王子。
フン、と傲慢に腕組をして、ベッドに座ったままの私を見下ろした。
「お前の望み通りにしてやるよ」
「は…?」
「もう関わらない。じゃーな」
バタン、と奴の背中があっという間にドアの向こうに消える。
私はしばらく茫然と、そのドアを見つめていた。