愛されプリンス½
黙った私に、北川さんは勝ち誇ったように笑った。
「証拠もないのに変な言いがかりやめてよ。あんたもイジメられたいの?」
そして北川さんは、颯爽と私を置いて教室を出ていった。
ポン、と後ろから私の肩をたたいたのは、みのり。
「やめなよ一花。あんたも面倒事に巻き込まれるよ」
「そんなこと言ったって、放っとくわけには」
「放っとけばいいじゃん。
ファンクラブも、妃芽ちゃんがプリンスに必要以上に近づくのをやめればもう何もしないはず。
でも、それでもプリンスに近づくことをやめないんだから、どうしようもないじゃん?」
「…でも…」
…だからといって、妃芽ちゃんに嫌がらせするのはおかしい。
―――こうなったら。
「あっ、ねぇ、山村くん!」
昼休み。
妃芽ちゃんが購買に向かったことを確認した私は、A組に向かった。
教室奥で女子に囲まれている天王子の姿を確認してから、A組の入り口付近にいた山村くんに声をかける。
山村くんとは1年のときクラスが同じで、席も隣同士だったから少なからず喋ったことがある。