愛されプリンス½




「…村田?なに、どうしたの」



でも、かといって仲良しでよく喋るわけでもない。



突然声をかけられた山村くんは怪訝そうに近づいてきた。



「あの、悪いんだけど天王子呼んできてくれない?」


「天王子…って、プリンスのこと?」


「そう!どうしても至急話したいことがあるんだけど、あんまり目立ちたくないの。だからこっそり呼び出してきてくれない?」




もう、こうなったら天王子に言うしかない。



妃芽ちゃんには“一生許さない”って言われたけど、私は今のこの状況を見て見ぬふりなんて、…やっぱりできない。




「…はぁ?やだよ。あん中に突っ込んでくなんて、自殺行為だろ」



チラ、と女子に囲まれた天王子を見て、あからさまに嫌そうな顔をする山村くん。




「そこをなんとか!山村様お願い!」



パンッと両手を合わせて拝むと「お地蔵様じゃねんだよ」と的確なツッコミが降って来た。




でも渋々、と言った様子で天王子の席に向かってくれる。



山村様ー!




女子をかき分けなんとか進んでいく山村様。


女子の向こうに姿が見えなくなる山村様。


女子たちの隙間から、天王子が笑顔で、一言二言、何か話すのが見えた。




暫くして、ゲッソリやつれた様子の山村様が帰還。




「“今、留守”だってさ」



…は!?





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