愛されプリンス½
「…で、俺んとこ来たんだ?」
チュー、と水川がいちごミルクをストローで吸い上げて言った。
水川なら妃芽ちゃんとも友達だし、きっとこの事態を天王子に伝えてくれるはず。
そう考えた私は、廊下で女子とイチャついていた水川を捕獲し屋上に拉致した。
無理矢理水川と引き離された女子からは恨みのこもった視線を送られたけど仕方がない。
「水川から言ってくれるよね?天王子に」
「なんで?」
「なんでって…水川は天王子と友達でしょ?妃芽ちゃんとだって」
ふーん、とつまらなそうに相槌をうつ水川。
いや、ふーんって…。
「最近さぁ」
水川がいちごミルクをノロノロと飲みながら、暇そうに空に視線をやった。
「死ぬほど不機嫌なんだけど、玲。何かあった?」
「何かって…」
…別に何もないと言えばないし、あったといえばあった、のかな?喧嘩みたいになったし。
でもあいつが不機嫌になってる理由は、いまいちよく分からないけど。
水川は質問を投げかけておきながら、特に答えを求めていたわけではないらしい。
さっさと言葉の先を続ける。
「不機嫌すぎて、全然周り見えてねぇからなぁ。笑っちゃうほど」