愛されプリンス½
視野狭すぎなんだよねえ、と笑った水川は、飲み終えたいちごミルクのパックを丁寧にたたみ出した。
…ていうか、今の言い方。
「…もしかして水川、気付いてたの?妃芽ちゃんのこと」
「そりゃぁ気づくでしょ〜、あんな来賓用のスリッパ履いてたら。妃芽忘れ物とかするタイプじゃないし」
「じゃぁもっと早く天王子に言ってくれたって」
「何で俺がそんなことしなきゃいけないの?そもそもこうなる事なんて分かってたじゃん?」
折りたたんだパックをゴミ箱目掛けて投げる水川。
綺麗な放物線を描いて吸い込まれたそれに、水川は満足気に口元を緩めた。
「よしっ」
いや、よしじゃなくて!
「酷いじゃん!気付いてて何もしてくれないなんて…」
「はは、酷いかぁ」
ダラリと笑った水川は、悪戯っぽい笑顔で私を見た。
「妃芽だって自分の意志でああしてる。助けてもらおうなんて思ってないよ?」
「…つまり、天王子に話す気はない、ってこと?」
「一花ちゃん、最近玲とゴチャゴチャしてるらしーじゃん?」
私の質問は完全に無視して、水川が一方的に質問を投げかけてくる。