愛されプリンス½
「俺がプリンスだとしたら、お前はせいぜい村人Aにすらなれない村人E。妥当なセンだろうが」
フッと片方の口角だけ上げる意地悪な笑みを見せるプリンスが、心底憎たらしい。
こいつ本当にちょっとかなり抜群に顔が良いからって…何様のつもりなの!?
「断るっ!」
ドン、と思い切り奴の胸を押して突き飛ばした。
「村人Eにだって拒否権はあるんだからねっ!」
「…ふーん」
思い切り突き飛ばしたつもりだったのに、少しよろけただけのプリンスは、つまらなそうにジロジロ、私のつま先から頭の先まで眺めまわす。
「な、何!」
「…じゃぁ俺、言っちゃおうかなぁー」
「は?何が」
「隣にお前が住んでること。そういや一年の時俺の隣の席になった女…ずいぶん執拗に嫌がらせ受けてたみたいだけど」
「っ!!」
こ、こいつ…!!
面白そうに私を窺うプリンスを思い切り睨みつける。
なんて姑息な手段を…!
「…べ、別に。言いたいなら言えば!?たまたまマンションの部屋が隣になっただけで、あんたと私は何の関係もないんだっ…し…」
グイッ!と強く肩を引き寄せられて、あ、と思ったときにはプリンスの顔がすぐ目の前にあった。
唇に触れたなにか柔らかいもの。
そして、パシャッ!と響くシャッター音。
私から顔を離したプリンスが、茫然自失の私を満足気に見下ろした。
「関係ない?こういうコトする関係なのに?」
そう言ってプリンスが得意気に掲げたスマホの画面には、私とプリンスがキスをしている写真がバッチリ映しだされていた…
はぁぁぁい!?