愛されプリンス½
作戦②家に突撃する。
学園の愛されプリンスは、常に“ファン”という強力な要塞と共にある。学校での接近は難しい。
というわけで、私は隣人という特性を最大限に生かすことにした。
ピンポーン。
夜。私は天王子の家を突撃した。
あの日から、天王子は全く私の家に来なくなった。
モデルの仕事が忙しいのか、夜も遅く帰ってきているようだ。
天王子が帰ってきたのを見計らい、私はいざ行かん!と気合十分に、奴の家のピンポンを押した。
だけど。
―――全く応答なし。
電気はついているし、人の気配は間違いなくあるのに。
ピンポーン。
再度押す。
だけどやっぱり応答なし。
………ピンポンピンポンピンポ「っせーなぁ!」
ようやく応答があった。
インターフォン越しに聞こえる天王子の声は間違いなくイラついている。
「あの、話が…」
「今留守」
ブチッと乱暴な音と共にインターフォンが切れた。
“今留守”って…
「ご在宅ですよね!?」
「ちょっとぉ、一花うるさいわよ~?」
私の声に、我が家のドアが開いてお母さんが顔をのぞかせた。
「だって天王子が…!」
「もう夜も遅いんだから静かにしなさい。ほら、早く家入る!」
「……はーい」