愛されプリンス½




「まぁた話聞いてなかったでしょ!?」



「聞いてたよ?芸人の不倫騒動でしょ?」



「だからとっくに終わってるからその話題。
プリンスと一花の相性!マッチング率2%だって!」


「2パー…?」





そのとき先生から面倒くさそうな声で集合がかかったので、話はいったん中断してクラスごと出席番号順に整列をする。




「ペアを作って一人ずつトラック女子5周!男子7周!待ってる方はタイムを計ること。いいな?じゃ始めるぞー!」



ということだ。



私はみのりとペアになった。




スタートラインに立ち合図を待っていると、妃芽ちゃんが近づいてきた。


どうやら妃芽ちゃんも最初の走者らしい。




「ね、一花ちゃん。勝負しない?」


「え?勝負?」


「うん。私が負けたら、嫌がらせされてることを玲に言う。そのかわり私が勝ったら


玲のことは諦めて」




…はい?



妃芽ちゃんの言ってる意味がよく分からない。



首をかしげる私に、妃芽ちゃんが続けて言う。




「だから。私が勝ったら玲のこと、好きなのやめてって言ってるの」



「…えっと…妃芽ちゃん?私、別に天王子のこと好きじゃないんだけど…」



「嘘つき」



妃芽ちゃんがフッと笑う。



「…じゃぁ…負けてくれればいい」



それだけ言い残して、先頭の方へと歩いていった。





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