愛されプリンス½
振り向くと妃芽ちゃんが地面に倒れていて、そんな妃芽ちゃんを天王子が慌てた様子で抱き起した。
「おいっ、大丈夫か!?」
「…玲…」
天王子の腕の中、苦しそうに咳込んでいた妃芽ちゃんがうっすら目を開ける。
「ごめん。負けたくなくて…」
「…バカ」
天王子は、はぁっ…と息を吐くと、妃芽ちゃんを抱き上げた。
いわゆるお姫様抱っこ。
キャッ…!!!と女子の中から悲鳴のような声があがった。
そんな女子たちをまったく視界にいれず、先生を振り向く天王子。
「先生。春野さんを保健室につれていきます」
「お、おう…俺も行く。じゃ…残りはテキトーにやっとけ?帰ってくるから!」
残された生徒が大人しく授業を再開するわけはなく、特に女子はみんな興奮気味にザワザワしていた。
隣のみのりがバシッと乱暴に肩を叩いてくる。
「ちょっと…!何あれ!?王子様みたいじゃないっ…!?マジかっこよすぎなんですけど…!!」
なぜかいつものように「はいはい」とあしらうこともできず、妃芽ちゃんをお姫様抱っこする天王子の背中から、目がはなせなかった。