愛されプリンス½
「…ほんっとバカじゃねーの?喘息持ちのくせに何ガチで走ってんだよ」
「だって…最近はずっと調子良かったし…」
「理由になってねーよ」
そっとドアの隙間から中を覗く。
一番奥のベッドで上半身を起こしている妃芽ちゃんと、隣のパイプ椅子に座る天王子の背中が見えた。
どうやら保健室の中には、今二人しかいないらしい。
「でも…ありがとう玲」
妃芽ちゃんが小さい声でお礼を言った。
「何が」
天王子は少しだけ苛ついた声。
「助けてくれて。やっぱり思った。玲は私にとってずっと王子様なんだって」
「…バカか」
「バカじゃないよ。あの頃、いつも笑ってて、かっこいい玲が大好きだった。今もだよ」
「やめろ」
立ちあがろうとした天王子の腕を妃芽ちゃんがつかむ。
「後悔してる。だからより戻したいなんて都合のいいこと言わない。だけど傍にいてほしいの」
「…妃芽。お前本気で言ってんの?」
「本気だ…「俺がすっげーお前のこと好きだったの知ってるよな?」