愛されプリンス½
ズブリと胸が抉られた気がした。
急に息がしずらい。
ドキドキと心臓が鳴る。
妃芽ちゃんの手を振り払った天王子がこっちに歩いてくるのが見えて、咄嗟にドアの影に身を引いた。
「玲」
妃芽ちゃんの声。
「また…助けてくれる?」
少しの沈黙の後、はぁ、と天王子がため息をつく気配がした。
「俺が妃芽のこと…ほっとけるわけねーじゃん」
その後のことは、よく覚えてない。
天王子のこっちに向かってくる足音が聞こえて、慌ててそこを離れて、気付いたら制服に着替えていて、いつものように席に座ってた。
みのりの話に、なんとなく合わせて笑って、帰りのSHRで担任から妃芽ちゃんは大事を取って早退したっていう話を聞いた。