愛されプリンス½
いや違う。みのりは分かってくれるもん。ちゃんと説明すれば、みのりは絶対に―――
“フツーの一般人が彼女になんてなっちゃったら…許せないもんなぁ”
「さぁどうする?」
スマホ画面を私に見せたまま、プリンスが一歩近づいて、決断を迫る。
「学校中から俺をたぶらかした女として迫害されるか、俺に協力して安全な学園生活を手に入れるか」
プリンスの冷たい瞳に私が映る。
口元は笑ってるけど、目は全然笑っていない。こいつは…本気だ。
「今ここで選べ」
――こんな最低男になんて絶対に屈したくない。
協力なんて絶対に無理!
だけど―――
「…………わ…分かった。協力…すればいいんでしょっ」
気付いたら私は、コクリと首を縦に振っていた。
「よし」
プリンスが当然というように頷いて、スマホをジーンズのポケットにしまう。
「交渉成立だ」
何が交渉……ただの脅しだろ!!
だけど、その時の私には威勢よくそんなことを言い返す気力すらなく。
「ちょっと二人とも何してるの?ご飯冷めちゃうじゃない~」
「あ、すみません。すぐに行きます」
ヒョコッとリビングから顔を出したお母さんに呼ばれ、廊下を戻っていくプリンスの後姿を見ながら
とんでもないことになっちまった。
そんな思いで頭がいっぱいなのであった…。