愛されプリンス½





「…一花ちゃん」



樹くんがコーラフロートをグルグル掻き混ぜる私に薄く苦笑いする。



「そんなに掻き混ぜたらアイス溶けちゃうよ」


「あ…、たしかに」


「ケーキ食べないの?」


「うん、食べる」



スプーンでケーキをすくうと、妃芽ちゃんが相変わらずニコニコしたまま言った。



「今日はデート?」


「え…?いや」


「一花ちゃん付き合ってないって言ってたけど、やっぱり付き合ってたんじゃん!」


「いや、それは…!」



やめて!その話題は今やめてー!!



焦ってチラリと樹くんを見ると、樹くんは穏やかな笑顔でコーヒーを飲んでいるだけだった。



「いいなぁ~」



妃芽ちゃんはそんな樹くんの態度を肯定と受け取ったらしい。




「こんなオシャレなカフェで放課後デートなんて憧れちゃう。ね、玲?」



「………別に」



素っ気なくそう言い放った天王子はすっかり仏頂面に戻っていた。



…つまらなそう。



本当は嫌なんだろうな、私とお茶するのなんて。



ほんとは…妃芽ちゃんと二人きりがよかったのかな。




「そんな…妃芽ちゃんと天王子だって、デートでしょ?」





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