愛されプリンス½
前に座っていた樹くんが、ギョッと私を見て大きく目を見開いた。
「一花ちゃん!?どうしたの!?」
「え…?」
はじめは何のことだか分からなかった。
だけど
ポタ、と机に落ちたそれに、何が起きたか悟る。
私…泣いてる!?
え!?何で!?!?
「いっ、一花ちゃん!?どうしたの!?どっか具合悪いとか!?」
妃芽ちゃんも心配してくれる。
天王子もだいぶ驚いているらしい、ポカン、と口を半開きにしてマヌケフェイスを晒していた。
ここにプリンスファンがいたら、キャ~ッ!レアショットよ~!とシャッターを切りまくりそうなお顔だ。
だけど今はそんなことに構ってる余裕ない。
どうしたのって、私が一番知りたい。
どうした私!?
「ご、ごめん…」
しかも拭っても拭っても、何かのタガが外れてしまったみたいに溢れてくる。
あー…もう!!
「ごめん、先帰るね!」
私は立ち上がるとそのままカフェを飛び出した。