愛されプリンス½
天王子と姫芽ちゃん、2人には2人だけの世界があって、そこに踏み込めないことがすごく、
…悲しいというよりも、
痛かった。胸がギュッと締め付けられるみたいに。
…そんなことあるわけないと思ってた。だけど。信じられないけど。不本意だけど。
…もう、逃げられないのかも。
「…ごめんね。樹くん…ごめん」
「…なにが?」
樹くんの声は、悟すみたいな優しい色。
背中を押されたような気がした。もう逃げちゃいけない、…逃げなくていいんだよって。
「私…あいつのこと…
…好き…なのかも、しれない…」
「…うん」
樹くんが頷く。
「わかった」
「…ごめんね。私、樹くんに告白された時はすごく嬉しかったし、樹くんと付き合えたら絶対幸せだって思ってた。なのに、でも…」
「ごめんはいらない」
樹くんが私の頭に手をのせて、そのまま髪の毛をクシャクシャにする。
「ちょっ…!?」
「告白忘れられてたことの仕返し。だからもう気にしないでいい」
ふんわり、樹くんが笑う。
「好きな人の恋を俺は応援するよ」