愛されプリンス½
「……?」
あの後天王子と、何かあったんだろうか。
だけど妃芽ちゃんはそれきり私に視線をくれることはなくて、話しかけないでオーラも出ているような気がしたから、そのままこの話はこれでお終いになった。
…そう言われてみると、たしかに天王子の様子は少しだけ、おかしいような気もする。
女子に囲まれていてもボーッとしているというか。
でも妃芽ちゃんが隣にいるのは変わらなかったし、きっとそんなに大した理由もないだろう。
少なくとも私とは全く関係ない。
あいつと私の関係は、マンションの部屋が隣で、クラスも隣で。それ以上でも以下でもない。
あいつの隣にいるのは妃芽ちゃんで、天王子はそんな妃芽ちゃんを大切に思ってる。
…樹くん、ごめん。
樹くんは私の恋を応援するって言ってくれたけど、この恋はもう、終わってる。
恋を自覚した途端に失恋なんて、バカみたいだけど。
…これでいい。
天王子のことは好きだけど嫌いだ。だけど。
あいつの幸せは願ってる。