愛されプリンス½
ガタッ…
何かがぶつかるような物音がした。
ハッと夢から覚めるみたいに目を開けると、天王子の顔がすぐ目の前にあった。
天王子も面食らったような顔をしている。
…わ、私今、
天王子とキス、しようとした…!?
ぶわっと体が熱くなった。思わず唇を押さえたとき
「…何、してるの?」
抑揚のない声が耳に届いた。
…っまさか。
慌てて振り向く。
ドアの前に立った妃芽ちゃんが、温度のない瞳で私たちを見ていた。
…妃芽ちゃんに、見られた…!?
「…あ、あの、これは…」
「あんたに聞いてないっ!」
何を言えばいいかも分からないくせに、反射的に紡ごうとした言い訳は鋭く尖った声に遮られる。
天王子が私から体を離して、ゆっくり妃芽ちゃんに向きなおった。
「…妃芽」
「…玲…どういう…こと?今、何しようとしてたの…?言ったよね、私のこと放っておけないって」
妃芽ちゃんがたどたどしい足取りで近づいてくる。
天王子は、やけに冷静な瞳でそれを見ていた。