愛されプリンス½
「…妃芽」
私とのあんな場面を見られたというのに、天王子の不自然なくらい落ち着いた声。
「放っとけないって言ったのは、嘘じゃない」
「じゃぁ、何でっ…」
「でもそれは恋じゃない」
妃芽ちゃんの足がピタッと止まった。
「妃芽、お前も分かってんだろ。俺たちはとっくに終わってる」
「…私が…あんなこと言ったから?あのとき、玲の傍を離れなかったら、今も一緒にいてくれた?私ね、あのときのこと、本当に後悔してっ…」
「もう無理だ」
天王子がきっぱりとした声で言い放つ。
「妃芽のことはもう恨んでない。だけど、もう女としては見れねーから」
「……っ、」
妃芽ちゃんの瞳にじわじわ涙が溜まっていく。
そして。
「…っ大っ嫌い」
天王子に駆け寄ると、そのネクタイを思い切り引き寄せて、
キスをした。