愛されプリンス½
理科室から出ると、壁に背中を預けるようにして誰かが座り込んでいるのが見えた。
…なんだか苦しそうだ…って。
天王子!?
「ちょっとどうしたの!?」
慌てて私もしゃがみ込む。
天王子は苦しそうに息をしながら、
「…別に」
掠れた声でそう言った。
「別にって…すごい具合悪そうだよ!?」
「いいから…何でもねーよ」
天王子の顔は俯いていてよく見えない。
熱でもあるのかと額を触ろうとしたら、バシッ!と物凄い勢いで振り払われた。
「…触るな。見るな。どっか行け」
そして体ごと私から逸らして、ゴホゴホと苦し気に咳込む。
振り払われるときに、一瞬見えた天王子の顔。
真っ赤な発疹のようなものが、顔中に出来ていた。
咳込みながら、天王子は強く唇を擦っている。まるで何かを打ち消すみたいに。
…もしかして。
私の脳裏に、妃芽ちゃんが天王子にキスした光景が浮かび上がった。
女アレルギー…!?