愛されプリンス½
天王子の家に着いて、とりあえず天王子をベッドに押し込んだ。
あとは、どうしよう。こんなの初めてで一体どうしたらいいのか…
「み、水とか飲む!?私持ってっ…」
「いいから」
立ちあがろうとした私の手首を、パシッと天王子がつかんだ。
「…ここにいて」
…こんなに弱々しい声の天王子を、私は知らない。
私は黙ってベッドの傍らに腰をおろす。
「…あー、くそ、最悪だ」
私の手首をつかんだまま、天王子が唸った。
「妃芽を保健室に連れてった時は何もなかったから治ったと思ったのに…くっそ、何だこれ」
私の手首をつかんだ手とは反対側の手で、顔を覆っている天王子。
その合間から見える頬の赤さは全く引く気配がない。
さっきは振り払われたけど、私はもう一度天王子の額に手を伸ばす。
「…やっぱ熱いよ。体温計持ってこようか?」
額に触れた瞬間、ピクッと天王子の体が揺れた。
手をずらした隙間から、天王子の瞳が私を捉える。真っすぐな目。
「…お前さ」
天王子の声は熱で浮かされたように掠れていた。
「気持ち悪くねーの?」
「え?何が?」
「何って…俺が」
「何で?」
わけが分からなくて天王子を見返すと、天王子は居心地悪そうに唇を噛んで、
「…やっぱ調子狂うわお前といると」
フイッと顔を逸らした。