愛されプリンス½







「…なー玲、なんか妃芽とキスもまだらしーじゃん?」



次の日学校に行くと、開人がそんなことを言ってきた。


正直体調は最悪だったけど、とにかく家にいたくなかったから学校の存在はありがたかった。



“キス”という単語に再び嘔吐感がこみあげてくる。何でよりによってこんな話題。



だけどいつもと違うのを悟られたくなくて、平気なフリをした。




「…なんだよ急に?」



「妃芽が悩んでるってリカが言ってたぜ?半年付き合ってキスもしてくれないなんて、玲は好きじゃないんじゃないかって」




…マジかよ。




グイッと俺の肩に腕をまわし、ニ、と笑う開人。




「ダメだって玲。女子にそんな思いさせちゃ。そろそろ大人の階段、のぼってみろって♪」


「…はぁ?何だよ気持ち悪…」




その言葉は本気だった。


大人の階段?そんなの




やめてくれ。





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