愛されプリンス½
「……好きだって」
絞り出すようにそう言った。
妃芽のこと好きなのはホントだ。
可愛いし、一緒にいて素直に楽しいし。たまに面倒くさいけど…
何しろ初めてできた彼女だし。
「…じゃぁっ…してよ」
妃芽が目を閉じる。
机一個分の距離。
“ダメだって玲。女子にそんな思いさせちゃ。”
開人の声が蘇る。
ここで何もしなかったら…最悪、なのか。男として。彼氏として。
こみあげてくる嘔吐感には気付かないフリをして、少し身を屈めた。
…妃芽のことは好きだ。好きなのに。
…やっぱ無理。でもダメだ。キスくらい。キスくらいで。キモチワルイ。
キモチワルイ、キモチワルイ、キモチワルイ―――
「……玲?」
いつまでも近づかない俺に、不思議そうな顔した妃芽が目を開ける。
次の瞬間、大きく目を見開いて
「きゃっ…」
立ちあがって、後退った。
「気持ち悪い…!」
「……え?」