愛されプリンス½
それから妃芽は俺を避けるようになった。
妃芽の周りには常に取り巻きの女子が何人かいて、俺から守るようにガードしている。
俺の噂が出回っているらしく男子も女子も俺から距離を置くようになった。
中には遠くから見てクスクスと笑う奴もいる。
唯一、離れていかなかったのは開人くらいだ。
誰より情報通の開人のことだから事の一件を知らないはずはない。
だけどまるで何も知らないような顔をして、やれ合コンだ可愛い女子がいるだのとお気楽な話を聞かせてきた。
たまにそれが死ぬほどウザかったが。
母親との関係は特に変わらなかった。
母親は俺に見られたことなんて何も知らない。
そして俺も知らないフリをする。
でも、俺はこの時思った。
俺は誰からも愛されていないんだって。
俺には生まれたときから何かが欠落しているのかもしれない。
だから誰からも愛されない。友達からも、彼女からも、そして母親にさえ。
もともっと…完璧にしなくちゃダメだ。
何もかも完璧にして、今度こそ失敗しない。
そうしたらきっと…
誰かが愛してくれる。