愛されプリンス½
「………うん」
やっぱり気の利いたことが言えない。
でも天王子がそう言ってくれたことは素直に嬉しい。
だから私も伝えたくなった。思ったこと。
「……わ、私は離れないよ!」
「………」
微かに目を見開いた天王子が私を見る。
「わ、私は離れない。天王子の傍にいる。水川もそう。だから、完璧じゃなくて、大丈夫」
…なぜか片言みたいは話し方になってしまった。
「ていうか、むしろ猫かぶりモードのときの天王子、笑顔嘘くさすぎるっていうか…」
あぁっ!何いらないこと言ってんの私!?
私は自分に絶望する。
「い、いや違う、つまり、私が言いたいのは…っ、」
何とか挽回しようとああでもないこうでもないと言葉を探していると、不意にグイッと強く腕を引っ張られた。
ドサッと天王子の顔の隣に腕をつくような格好で倒れ込む。
下から天王子が私を見てる。やけに真剣な瞳で。
慌てて退こうとする私より先に、天王子の腕が背中にまわった。そのままギュッと強い力で抱きしめられる。
「……て、んの…じ…?」
これまでにないくらいの強い抱擁。く、苦しい…
息絶え絶えに天王子の名前を呼ぶと、はっと耳元で笑う声がした。
「…嘘くさい…か。はじめて言われた」
そりゃ…みんなあの猫かぶり笑顔にメロメロになってますからね。