愛されプリンス½
ギブギブ、と腕を叩く私に、天王子がやっと力を緩めた。
だけど後頭部をガッシリ抑えられて離れられない。
動けばすぐに唇が触れそうな距離に天王子の顔がある。
「………っ」
喋ると吐息すら顔にかかってしまいそうだから、私は抗議の声をあげることもできずに視線を彷徨わせた。
心臓がバクバクうるさい。
天王子、何でこんなことするのっ…
そんな私を見て天王子が目を細める。
「…顔まっか」
「!? う、うるさいっ…」
「キスしたい」
ストレートな言葉にズキッと心臓が痛いくらい跳ねた。
「な、何言ってっ…」
「…はじめてだ。こんなこと思ったの。お前にだけ」
グ、と私の後頭部にまわった手に力がこもる。
そのままキスされるのかと思ったら、ス、と天王子の手が離された。
「天王子…?」
「…逃げなくていーの?」
天王子の試すような目。
「好きじゃない奴とキスはしないんだろ?」