愛されプリンス½
顔をあげる。
よく見ると、天王子の後ろににはキャリーケースが置かれていた。
「お、沖縄…?一週間?」
「…撮影で」
「そ、そうなんだ…」
スルスルと魂が抜かれていくような気持ち。出鼻をくじかれた、というか。
「…そんで…」
天王子が緊張した面持ちで私を見つめた。
「帰ってきたらお前に言いたいことがある」
「…言いたいこと?」
「……うん」
言いたいこと、って…
「今言えば?」
深く考えることなく軽くそう言うと、天王子は一瞬目を丸くして、その次には不機嫌そうに眉をひそめて、最終的に自分の髪をグシャグシャにした。
「え…どうしたの?」
「お前…簡単に言うなよ。こっちだって色々あんだよ、覚悟とか、色々…!」
はぁぁ、と深いため息をついた天王子が、気を取り直すように、キッと挑むみたいに私を見た。
「とにかく帰ってきたら話す。だから…」
天王子が私の肩をグイッと引き寄せた。ポス、とその勢いのまま天王子の胸に顔が埋まる。
「充電」
まるで味わうようにギュッと力をこめて私の肩に顔をうずめた天王子が、ボソッと言った。