愛されプリンス½
少しして離される身体。
「じゃ…先行くわ」
天王子はキャリーケースを持つと、私に背を向け歩いていった。
私はその場に固まったまま、天王子の背中を見送る。
見てしまった。
私から離れて、キャリーケースを持つ天王子の顔が真っ赤だったのを。
心なしか、なんか歩き方もギクシャクしてるし。
“充電”
さっき抱きしめられたのが蘇って、どんどん体温が上昇していくのが分かる。
あんな風に抱きしめられたら、あんなこと言われたら、真っ赤になってるのを見たら
期待してしまう。もしかしたら天王子も…?
「いやいやいや!!」
声に出してブンブン首を横に振った。
やめよう。期待して、落っこちたときの落胆が怖い。とにかく今は、忘れよう。一週間したら帰ってくるんだから。
「…っよし!!」
勝負は持ち越しだ!