愛されプリンス½
「みのりっ…!」
慌てて追いかけようとした私を妨害するかのように、前に立ちふさがったのは
「分かってるわよね?」
今日も黒い艶髪が美しい、九条先輩。
「だから言ったでしょ?秩序を乱さないようにって。ちゃんと注意してあげたのに」
九条先輩が腕組をして、深いワインレッド色した唇を吊り上げる。
「秩序を乱す者は罰せられる。覚悟、できてるわよね?」
…覚悟…できてるわけないでしょ!!
そう叫びたいところだが、そんな勇気のない私はゴクリと唾を飲み込む。
“学校中から俺をたぶらかした女として迫害されるか、俺に協力して安全な学園生活を手に入れるか。今ここで選べ”
いつか、天王子に言われた言葉を思い出す。
安全な学園生活を選んだ…はずだったのに。
こんなの聞いてない。