愛されプリンス½
3時間目、数学。
先生が数学の教科書を読み上げる声だけが教室に響いている。とても静かだ。
今日は上履きがミミズの住処になるという事件はあったけど、朝きたら私の机がゴミまみれになってることもなく、
比較的平和に一日が過ぎている。
このまま平和に過ぎてくれればいい…そう思ってたけど。
「じゃ、次のページ」
先生の声に合わせてみんなが教科書をめくる音がする。
私も、1枚ページを捲って…
目を疑った。
見開きページいっぱいに、
黒いマジックペンで【死ね】の文字。
…っ、いやいや…
叫びだそうになるのを必死に抑えた。
死ねなんて、絶対人に言っちゃいけない言葉でしょ…!
ギュ、と手のひらのシャーペンを握りしめる。
…何で。こんなこと…
「じゃ、例題3を…村田。解いて」
天才的に間の悪い先生が、あろうことか私を指名した。