愛されプリンス½
「アイツらにはちゃんと言ってあるから。
学校から一歩外に出たら俺には一切干渉すんなって」
フン、笑う天王子はどうやら、絶対の自信があるらしい。彼女たちが、絶対に自分を裏切らないという自信。
「…信じられんの?それ」
「大丈夫だろ。アイツらが何を一番恐れてるか知ってるか?俺に“嫌われる”ことだ」
そしてゆっくりと組んでいた足を解き、天王子がベッドから立ち上がる。
「言いたいことはそれだけか?」
「…大嫌い」
「それは光栄だな」
嫌味っぽくそう言うと、天王子が顎で前を示した。
「こっちに来い」
「…何で」
「いいから」
「…絶対変なことしないでよ!?」
「わかったから早くしろ」
渋々、椅子から立ち上がり天王子の前に立った。
そんな私を見て、天王子が不機嫌そうに顔を歪める。
「遠すぎ」
「ち、近づく必要ある?」
「いいからもっとこっち来いよ」
偉そうな天王子。
「写真バラまかれてぇのか」
「う…うっさい!今行くから!」
恐る恐る、天王子の方へ一歩、また一歩、ゆっくりと近づいた。
「これでいっ…わっ」
天王子が突然両肩をつかみ引き寄せたせいで、前につんのめりそうになった。だけど転ばなかったのは、天王子がしっかり私の肩をつかみ支えていたからだ。
すぐ目の前に天王子の整った顔。
「へ、変なことはしないでって」
「だからしねぇよ」
天王子の透き通るような茶色い瞳がじっと私を見つめてる。
な、なんだ、睨めっこでもする気なのか。よしっ、どんと来い!
何が起きても笑うものかと、グッと唇を引き締めた時だった。天王子の茶色い瞳が、視界いっぱいに広がった―――