愛されプリンス½
「…っみのり!」
だいぶ先をズンズン歩いていくみのりを呼ぶ。だけどみのりは止まってくれない。
「…みのり!待って!」
私はなんとか追いついて、みのりの腕をつかんだ。
ようやく足を止めてくれたみのりが振り向く。
「…何?私トイレ行きたいんだけど」
「え、えと…ごめん。あの、みのり…ありがとう。さっき」
やっぱりみのりは怒っている。私を見る目が険しい。
だけど久しぶりに喋ってくれて、それだけで泣きそうなくらい嬉しかった。
「…私…みのりが友達になってくれてすごく嬉しかった」
「…何?突然」
みのりが困惑気味な表情をする。
「転校してきて、全然学校に馴染めなかった私に声かけてくれて…ほんとに嬉しかった。私あの時のこと、一生忘れないと思う」
「…一生て、大袈裟だな…」
「なのに、ごめん。
天王子…プリンスと家が隣なの隠してて。
みのりもプリンスのこと、好きだったから。
言ったら嫌われるかもって思って、言えなかった…」
「………」
「あのね、でも、プリンスと家が隣なのは本っ当に偶然で!断じてストーカーとかでは…!」
「バカじゃないの?」
それまで黙って私の話を聞いていたみのりが、呆れたように私を遮った。
「私が怒ってんのはそんなことじゃないんだけど」