愛されプリンス½
「え、じゃぁ、何…」
「あのさぁ」
みのりが鬱陶しそうに長めの前髪をかきあげる。
「隣の家ってことは、夕飯のときに醤油かしてくださーい♡とか、電気切れちゃったんで付け替えて下さる?♡とか、ゴキブリ退治して♡とか、何かにつけて家に押しかけられるってことだよね?」
「は?いや、そんなの一個もしたことな…」
「それどころか、プリンスの家の物音を探って、トイレ行ったりシャワー浴びたり、そういう生活リズムも分かっちゃうわけでしょ!?」
「いやいや、うちのマンションそんな壁薄くな…」
「早く言ってよ!!!」
ガシッ!とみのりが力強く私の肩をつかんだ。
あまりの迫力に押し黙ってしまう私。
「もし一花が早く教えてくれてたら、一花の友達特権で遊び行っちゃったり、一花に寝起きの写真ゲットさせたり…できたのに!」
「いやできない。隣だからって寝起きの写真はゲットできないから」
「とにかく!」
みのりが私の肩から手を離す。
「もっと早く言ってくれてたら、私はもっと色々楽しめたわけで…」