愛されプリンス½
「ちょっとぉぉぉ!!!」
私の唇めがけて近づいてきた天王子の顔面を、パーにした手で乱暴に押し返す。
「いって!っにすんだよ!!」
「っにすんだよはこっちのセリフなんですけど!?変なことしないでって言ったでしょ!?」
「キスのどこが変なことなんだよ」
いけしゃあしゃあとそんなことを言いながら、ポケットに潜ませていたらしい手鏡で自らの顔面をチェックしている天王子。
「ほんと痛てぇ。顔歪んだかと思った」
「あんたね!昨日といい今日といい、許可なく勝手にキスしようとしないでよ!」
「へー、じゃぁ許可とればいいわけ?」
「許可なんて出すわけないでしょ!?私、キスは好きな人としかしないって決めてるし!」
きっぱりそう言い切ってやると、天王子がポカンとしたマヌケ面で私を見た。
「はぁ?何だそれ。ダリぃ女」
「うっうるさい!」
はぁぁ~…、とため息をつきたいのは私なのに、なぜかそんな長いため息をついた天王子が、手鏡をしまい私に向きなおる。
「じゃ、キス以外ならいいわけね」
そして私の返事も待たずに、ギュッと私を抱きしめた。