愛されプリンス½
「っ、そんな言い方」
「何?もしかして怒ってる?悪いのは100%そっちでしょ?」
妃芽ちゃんの顔から笑顔が消える。そして氷みたいな冷たい瞳で私を見た。
「全然興味ないって顔して玲のことコソコソ狙って。卑怯だと思わない?」
「だってそれは、偶然で…」
「じゃぁ何で隠してたの?」
「そ、れは」
たしかに隠してた。みのりにすら言わなかった。
「それは…」
天王子に脅されたから、だけど。
自分のためだ。
みのりに嫌われたくなかった、誰からも嫌われたくなかった。
平和な学校生活を送りたかったから。
「………」
黙り込んだ私を見て、妃芽ちゃんが勝ち誇ったように微笑んだ。
でも、次の瞬間には悲しそうに眉をひそめて。
「…玲とコソコソ二人で会って楽しかった?」
「…妃芽ちゃ、」
「私の気持ち知ってたくせに。私のこと笑ってたんでしょ?心の中でずっと」
「そんなことない!」
それは違う。
私は妃芽ちゃんがずっと羨ましかった。
誰よりも可愛くて、天王子のことをこの学園で唯一“玲”と呼ぶ女の子で、
私の知らない時間を、天王子と共有してる妃芽ちゃんが。