愛されプリンス½
半年ほど前の高1の秋、私はここ朝倉学園に父の仕事の都合で転入してきた。
はじめはすごく驚いた。やべぇところに来ちまったと思った。
だってみんな口を開けばプリンスプリンス、プリンスが廊下を歩けば悲鳴、笑えば悲鳴、欠伸をすれば(超レアらしい)地響きのような悲鳴の嵐。
なんでも裏ではプリンスの盗撮写真が高値で取り引きされているとか、いないとか。
とにかく、プリンス一色に染まった学園、クラスメイト達に全く馴染める気がしなかった。
でもそんな時、みのりが話しかけてくれて。
『なんかあなた変わってるね。プリンスになんて興味ないって顔して』
『…みんなが異常なんじゃない?』
『うわ!正直だねー。面白いじゃん』
ニコッと人懐こく笑ったみのりの笑顔は今でも忘れない。
『友達になろうよ!』
そんなわけで、私とみのりは親友になった。
神への祈りが通じたのか、2年生でも同じクラス。
みのりも例に漏れずプリンス信者だったけど、プリンスに興味のない私を否定することはしなかった。
まぁ、かなり不思議そうな目では見てくるけどね…。