愛されプリンス½
「えっちょっ、何?聞こえてる?おーい」
呼びかけてみると、ハッと意識を取り戻した天王子。
ものすごい勢いで顔を逸らすと
「おいいつまで乗ってんだよ降りろ!」
「っわ!」
強引に膝の上からおろされた。
「あんたが無理やり乗せてきたんでしょ!?」
「うっせーな…」
「あっ、もしかして図星だったとか?だから慌ててるんでしょ~?」
「ちっげーわ自惚れんな!別に弁当楽しみとか思ってねーよ!」
「…え?」
楽しみなんて、私一言も言ってないのに。
「…楽しみ…なの?」
「…俺としたことが…」
自分のおかしたミスに気付いたらしい、口元に手を当てた天王子が、ガクリとうなだれた。
…ふっ
「なんか天王子…かわいいかも」
「……黙れ」
「だって」
「お前な…」
天王子が顔を上げたときだった。
「あっまぁ~い♪あー甘すぎて胸やけしそー」
見ると、今日も今日とて、甘そうなイチゴミルクを手にした水川がフェンスに寄り掛かるようにして立っていた。
…水川…いつの間に。