愛されプリンス½
「ちょっとぉぉ!!」
その夜、お母さんはまだ夕飯の準備中だったけど、家に来た天王子を私の部屋に拉致した。
一言物申したいことがあったからである。
「ゴミ箱の中で寝てたって何それ!?」
「知らねーよ」
ボリボリ頭をかきながら私のベッドに勝手に座る天王子。
「知らねーってアンタが言ったんでしょ!?お陰で私、ゴミ箱の中で昼寝する奇特な子になっちゃったじゃん!」
「間違ってねーじゃん」
「間違ってるわ!」
まぁ“ゴミ箱の中で寝る”というパンチあるワードのせいで、ビンタは何となくうやむやになった感があるけどさ。
だけど…
「それにしたってもっとマトモな言い訳がっ…!」
「うるせーな他に思いつかなかったんだよグダグダ言うな」
フン、と偉そうに足を組みふんぞりかえる天王子。
「俺との関係がバレるよりはよっぽどマシだろ、むしろ感謝しろゴミ女」
「ゴミッ…その呼び方やめてよ!」
「つーか」
天王子が座ったまま、グイッと私の手をつかみ引っ張った。
急に近づく天王子との距離。
「あんまりうるせーとその口塞ぐけど」
「っはぁ!?」
その口を…塞ぐ!?
「変態!!」
慌てて手を振り払って奴から離れた。
ハハッと面白そうに笑う天王子。
「こんくらいで真っ赤になるとかバカじゃねーの、タコかよ」
「うっ…るさい!」