愛されプリンス½





それから天王子にダメ出しを食らうこと5回。


もういい加減着替え疲れた…!



ゲッソリとしてカーテンを開けると、壁に寄り掛かりスマホをいじっていた天王子が気付いて顔を上げた。


「おい、着替えんのどんだけかかってん…だ…」



天王子の視線が止まる。

もしかして、またダメ出しパターン!?



「ちょっと!」


私はいい加減キレた。



「また着替えろとか勘弁してよね!?もう疲れたし、お店にも迷惑「いんじゃねーの」



「…はい?」



天王子がぶっきらぼうにそう言って、私の方に近づいてくる。



え?もしかして今、いんじゃねーの、って言った?



「…まぁ」


頭の先からつま先まで、ジロジロ眺めまわした天王子が、フン、とぞんざいに腕を組む。



「凡人にしてはなかなかいいんじゃねーの」



え?まさかの合格?やっと?



「あの、すみません」



腕組を解き爽やかな笑顔を作った天王子が店員さんを呼んだ。



「この服着て帰ります」



着て帰るの!?





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