愛されプリンス½
「今朝の話の続きだけど」
そう切り出した会長は相変わらず品の良い笑みを浮かべたままだ。
だけど後ろの先輩二人は、私を険しい目つきで睨みつけている。
このままだとボコボコにされるフラグが濃厚だ。
「あっあの!」
ボコボコにされるのは何としても避けたい私。どうにかこの場を切り抜けなければと口を開いた。
「土曜あいつッ…ぷ、プリンスと歩いていたのには複雑な事情がありまして…」
「事情なんてどうでもいいの」
だけどあっさりと会長に遮られる。
「大事なのは事情よりも事実。
あなたがプリンスと休日、二人で歩いていたということだけで十分よ」
ピシャりとそう言い放つと、スッと口元が綺麗な弧を描いた。
「プリンスはみんなの心の拠り所なの。不用意に近づきすぎないのが暗黙のルールだったはず。
それを破ったら…どうなるか分かってるわよね?」
何でだろう。表情は確かに笑ってるのに、全然笑っているように見えない。
こ、怖い…この人。
「ルールを守れない者はこの学園にはいらないの」
ゆっくりと会長が近づいてくる。
「地獄に堕ちるのみよ」
グイ、と胸倉をつかまれた。
突然のことで何が起こったのか分からない私。
上品な口調と、この乱暴な行動が全くマッチしていない。
こっ…怖すぎるんですけど…!!!