愛されプリンス½
「………」
「………」
沈黙。
太陽の届かないここは少し寒い。
私に背を向けたままの天王子。
…まさかこんなナイスなタイミングで現れるとは思わなかった。
“あぁ、村田さんだったんだ。ここにいたの”
なんて言っていたから、たぶん偶然なんだろうけど。
でも…助かった。
こいつが来なかったら今頃、ボコボコにされていたかもしれない。少なくとも一発ビンタはくらってた。
お礼…言わないとだよね。
「あの…ありが「何やってんの?お前」
私を遮って天王子が怠そうに振り向く。
そこにさっきまでのお上品な“プリンス”はどこにもいない。
はぁ、と呆れたようにため息をついた。
「九条とお前が一緒に中庭なんて歩いてるからこんな事だろうと思ったけど。
何ノコノコついてってんの?アホかよ」
気怠そうにポケットに手を突っ込んで私を見下ろす。
「だ、だって…逆らえないし」
「は。この俺に楯突いといて何それ」
天王子が薄く笑う。
…ん?ていうか天王子の今の言い方。
私と会長が中庭を歩いているのを見て来てくれたってこと?
つまり、それって。
「助けに来てくれたの?」
「…はぁ?」
天王子が大袈裟に顔をしかめた。