愛されプリンス½
「何でわざわざこんな遠くの高校選んだの?」
朝倉学園は特別レベルが低いってわけでもないし、ここしか行けなかったから、というのは考えにくい。
自分の意志でここを受験したということだろう。
「う~ん…それは」
水川は少し答えあぐねるような間をあけてから
「玲がここ受験するって聞いたから」
そう答えた。
「ふ~ん…仲良いんだね、天王子と」
「まぁ…仲良いっていうか、心配だったんだよ、俺なりに」
ジュ、と水川がいちごミルクのストローを吸う。
「心配って?」
「…あいつには傷がある」
ジュボッ、といちごミルクが底を尽きた音がした。
「…傷?」
「そ。しかも外からは判別できない。
完全に治ったかのように見えて、実は中は血みどろのグチャグチャ。
そーゆー、タチ悪い傷がね」
そんなナゾナゾみたいなことを言いながら、水川がいちごミルクのパックを丁寧に折り畳む。
「どういうこと…?」
意味が分からなくて正直に聞くと、水川はニコッと笑顔を見せた。まるで悩みなんて一つもないみたいな、そんな能天気な笑顔。
「ま、後は玲に聞いてみてよ☆」
えー…突然の丸投げ。