愛されプリンス½
お母さんと楽しそうに会話している天王子は、とても水川のいう“傷”を抱えているようには見えない。
“完全に治ったかのように見えて、実は中は血みどろのグチャグチャ”
“そーゆー、タチ悪い傷がね。”
いつも偉そうで自信満々な天王子。
学校の女子からはキャーキャー言われ、先生からの信頼も厚く、誰もが一目置く存在。
そんな奴が何の傷を負ってるっていうんだ。
そう思うのに。
なぜか、チラつく。
無理矢理デートさせられたときの、帰り際の天王子の目が。
“ほんと何でお前なんだろ?”
「…か、一花?」
は、と気付くとお母さんが怪訝そうに私を見ていた。
「どうしたの、ボーッと玲くん見つめちゃって。
まぁ、こんなイケメンなんですもの!見とれちゃうのは分かるけど…」
ニコッと天王子が小首を傾げる。うげぇぇぇ。
「見とれるわけないでしょ!?」
ただ少ぉぉし、気になるだけで。