愛されプリンス½
「ついに俺に惚れたかお前」
夕飯後、いつも通り私の部屋にやって来た天王子。
人のベッドにドカッと腰かけてそんな意味不明なことを言う。
「はぁ?何言ってんの」
奴にいつもベッドを占拠されるので、私は仕方なく学習机の椅子に腰かける。
「さっき俺に見とれてたじゃん」
「見とれてませんー!ただちょっと考え事してただけです~」
ったく、これだからモテ男は!女子は全員自分のこと好きになると思ってるから困る。
はぁ、とため息をつきながら手持ち無沙汰に机の上に置いてあった雑誌をめくった時だった。
「…その考え事ってさぁ」
背後で天王子が立ち上がる気配。
「んー?」
雑誌に目を向けたまま返事をすると、グイッと顎をつかまれ強引に顔を上げさせられた。
「その考え事って俺のこと?」
「…いや違うけど」
ほんとはそうだけど、正直に答えるのは癪だった。
天王子のこと考えていたなんて言ったら、また調子にノッて「やっぱ俺に惚れてんだろ」とか言い出すに決まってる。
天王子の茶色い瞳が不愉快そうに細められた。
「ほんと生意気な女」
そのまま強い力で腕を取られて、ギュ、と強引に抱き寄せられる。