愛されプリンス½
抱きしめられながら、また頭をあの水川の言葉がよぎる。
“…あいつには傷がある”
何で自分でもこんなに気になるのか分からないけど、やっぱり気になる。
傷って、てっきり精神的なものなのかと思ってたけど、実はただ単にどこか怪我してる…とか?
抱き寄せられた姿勢のまま宙ぶらりんになっていた右手をあげて、恐る恐る天王子の背中に触れた。
驚いたのか、ピクッと奴の体が反応する。
そのままペタペタと触ってみたけど、特に怪我をしてる様子は…
「っなんだよ」
痺れをきらしたように、天王子が私の右手首を拘束した。
「人の体ベタベタ触りやがって」
そして少し体を離し、不機嫌そうに私を見下ろす。
「ご、ごめん。ちょっと…触診を!」
「…はぁ?」
不可解そうに眉間に皺を寄せる天王子。
って私…なんか触診って…物凄く変態チックじゃない!?
「あ、あの違くて!これはその…」
「…ふーん」
何かいい言い訳はないかと頭をフル回転させる私を、天王子が覗き込んだ。
ニ、と形の良い口角が上がる。
「もしかして俺としたいの?お前」
「……はい?」
俺と…したい…したい!?!?